花粉症の患者では、原因植物の花粉に対するIgE量が多いことは明らかであり、これがアレルギーを起こす直接の原因である。しかし、花粉症の原因となる花粉と接触しても全ての人が花粉症になるわけではなく、IgEが多くても発症しない人がいる。またIgEの量と重症度とは必ずしも相関しない。なぜこうしたことがあるかについては、遺伝要因(遺伝的素因)や環境要因などさまざまな要因の関与が考えられている(すなわち花粉症は多因子疾患である)が、全貌は明らかになっていない。
遺伝要因 [編集]
遺伝要因については、広く体質(いわゆるアレルギー体質)と呼ばれるものが相当する。しかし広義の体質は、遺伝による体質と、出生後に後天的に獲得した体質とが混同されているため、これらは分離して考える必要がある。アレルギーになりやすい遺伝的素因、すなわちIgEを産生しやすい体質は劣性遺伝すると考えられており、それを規定する候補遺伝子は染色体11qや5qなどに存在するといわれるが確証はない。こうした遺伝的要因については、IgE産生に関わるもののほか、各種のケミカルメディエーター遊離のしやすさや受容体の発現のしやすさの違いなども考えられている。どんな物質に対してアレルギーを起こすかということも、遺伝的に規定されているとの説もある。
なお、花粉症についての調査ではないが、両親ともアレルギーではない場合に子どもがアレルギーになる率は26.7%、両親ともアレルギーの場合は57.4%、母親または父親がアレルギーだと44.8/44.1%との数字がある。他のいくつかの調査でもほぼ同様である。
ハンドボール
ジーンズ
衛星
フラダンス
白地図
計算化学
茶道
フットバッグ
年金
船舶工学
免疫学
フードテーマパーク
生活習慣病
映画史
スクエアダンス
化学工学
ストリートダンス
地球
人形劇
生態系
環境要因 [編集]
大気汚染や生活環境の変化、衛生環境の変化による人体の免疫作用の変化との関連が指摘されており、下記のような調査が進められている。
自動車排気ガスによる大気汚染の関与 [編集]
ディーゼルエンジンの排気ガス中に含まれる微粒子 (DEP) や、ガソリンエンジンからも排出される窒素酸化物 (NOx)、オゾン (O3) などに長期間暴露されることにより花粉アレルギー反応の閾値を下げる、アレルギー反応を増幅する等の影響が指摘されており、様々な実験・調査がされている。NHK地上TVでも、排気ガスと花粉の化合物の問題を取り上げ、幹線道路沿いの住民が花粉症派生率が高いと報道した。
また、そもそも東京都内などほぼ全域にわたって大気汚染物質の濃度が高いところでは疫学的研究による差が出にくい(比較的低濃度の地域であっても閾値を超えていることが考えられる)こと[3]や、動物実験について臨床との差異があることを理由に結果を否定しようとする向きがあること(前述)、PM2.5 などこれまで充分に測定されていない物質の影響が調査できていないといった問題もあることから、環境省や大気汚染が進む自治体などでは、より広範な情報収集・調査を行うための観測地域や対象物質の拡大といった、観測体制の整備[4]が進められている。
自動車排気ガス以外の浮遊物質の関与 [編集]
大気汚染物質としては、前述の自動車排ガスのほか、煙草の煙や換気の悪い室内での暖房時に出るガス状物質、黄砂や土ぼこりなども、症状を悪化させるという報告がある。
寄生虫感染の減少 [編集]
寄生虫感染症との関連にも注目されている。IgEは本来、ぎょう虫や回虫などの寄生虫が寄生したときに産生され、これらを排除するために働くものだとされる。1960年代以降の日本では衛生環境の改善によって寄生虫感染症が激減したが、このことによって「攻撃する相手」を失った IgE が、寄生虫の代わりに花粉を攻撃するようになったというものである。寄生虫に感染していると大量の IgE が産生され、それがびっしりと肥満細胞を覆うため、のちに花粉に対する IgE が産生されても肥満細胞に結合することができないという説明もなされる。寄生虫感染の多い東南アジアでアレルギーが少ないことなどが根拠のひとつとされる。また、ニホンザルにおける調査で、花粉症有病率が長年にわたり一定であることもこの説を支持するという。すなわち、寄生虫感染率も長年にわたり一定であるためであるという。
しかし、大きな話題となったこの仮説はその論拠が薄弱であり、ヒトでの疫学調査では相反する結果が得られたり、保存されている過去の血液の抗体検査をしても理論どおりの結果が出ない。寄生虫感染がほとんどなくなった現在でも、アレルギーがなお増加していることは説明がつかない。東南アジアにおいても、アレルギーは増加しているという事実も非支持的である。そのため、現在では市民レベルの噂話にのぼる程度のものになっている。この説を一般向け書籍を出版することによって大きく広めようとしたのは、著者自身の行う寄生虫学をもっとポピュラーにしようとの思惑があったのだと揶揄する人もいる。この説そのものは、社会的に話題になる以前より他の研究者によって提唱されていたものである。
ただし、寄生虫感染はIgE産生を亢進することは確からしく、この理論が完全に否定されたわけでもない。その理由として、あらかじめ寄生虫感染を起こしていると花粉症発症は抑制されるが、花粉症になってから寄生虫感染を起こしても症状は抑制されないという機序を考える場合もある。上記の衛生仮説に含むこともある。
なお、こうした寄生虫のエキスなどを投与して症状を改善しようという試みは、たしかに免疫のバランスが変化するものの、発ガン率が高まるおそれがあるなどの副作用の問題が生じたといい、断念されているようである。詳細は不明である。